「サリーちゃん、大丈夫?」


駆け寄って気づいた。


見開かれた大きな瞳は、今にも泣き出しそうなほど潤んでいることに。

そして、差し伸べた手に乗っかった彼女の手が小刻みに震えていることに……。


いつも笑顔だからって、怒らないわけじゃない。
俺は人より笑っていることが多いだけで……みんなと一緒。

好きな子が傷つけられていたら怒るだろ。


「謝れよ」


……ただ。
学校のみんながいる前でキレたのは初めてかもしれない。


サリーちゃんの手を取って教室を出る時、みんなの恐れるような視線を感じたけれど……どうでも良かった。

この子さえ守れたらそれでいい。
たとえサリーちゃんが俺を怖がっていたとしても……。