……日南先輩の、殺気とも取れるほど鋭い眼光。
射抜くようなその目を向けられて、俯いてしまった。
「ご、ごめん……」
絞り出した謝罪の言葉。
本当に謝罪の意味を含んでいるかはわからない。
納得できないけど、日南先輩に逆らえなくて仕方なく──とも取れる。
……でも、もう私には充分。
むしろ充分すぎるくらい。
「今度この子に何かしてみろ。俺が許さねぇから」
……本当に、どうしてかな。
尖っていて威圧的な日南先輩。
なのに、全然怖くない。
「日南、ガチギレじゃん」
「初めて見た」
「怖ぇ……」
ヒソヒソ話す周囲の声を聞きながら……私は、日南先輩に手を引かれて、教室を出た。



