日南先輩は、いつも賑やかで明るく笑っている。楽しい時間の中に常にいるような、そんなイメージ。
────怒りとは正反対にいる人物。
それがどうだろう。
本当に日南先輩かと疑いたくなるくらい、今、目の前にいる彼が恐ろしく見える。
たぶんここにいる全員が思っていること。
ざわついていた室内が一気に静かになったのがその証拠。
……なのに。どうしてかな。
緊張感が漂う中。
言葉を向けられた先輩が口を開いた。
「あ……、えっ、な、……なんの、こと?」
明らかな動揺が見て取れる。
虚をつかれたからではない。
日南先輩の怒気が自分に向けられたから。
「しらばっくれんじゃねぇ」
「っ!」



