キミに溺れる。〜ピンク髪の先輩と派手色な恋を〜


視線を向けると……案の定、2年の先輩が蔑むような目で後ろに立っていた。


「邪魔」

「ご、ごめんなさい……!」


立ち退こうとした私──しかし。


「使えないんだから、さっさと辞めてくんねぇかな」


刃物より鋭い言葉を投げつけられるのと同時、肩がぶつかって来た。

それがあまりにも強くて。
踏ん張れなかった私は、その場に倒れ込んでしまった。


咄嗟についた手とお尻に痛みが走る。


「え、坂下サン?大丈夫!?」


モデルの先輩が振り返って心配の言葉をかけてくれるのに、当の本人は、鋭い目つきで見下ろしたまま。


……どうしてっ。


私たちを取り巻く空気は最悪なのに、周囲は変わらず賑やかで喧騒が続く。誰も私には気づかない。

それが、余計に私を惨めにさせた。