そして、ランウェイの練習が始まった。


「なぁ、ここって決めポーズだけ?喋っちゃいけないんだっけ?」


ただ歩くだけじゃつまんないし。
……さて、何を言おうか。

と考えながら視線を漂わせた先に、俯くサリーちゃんが見えた。


なんで下向いているんだろう……?
……こっち見てくれないかな。


早く見つけてよ。


どうしようもない焦燥感に駆られて。
その目をこっちに向けさせたくて。


「俺のこと見つけられたー?」


俺はここにいるよ──そんな意味を込めて。
気づけばそう叫んでいた。


顔を上げたサリーちゃんは、遠くからでもわかるほど目を見開いていた。

ようやく気づいたみたいだった。