登校ラッシュ時間帯。
徐々に校門をくぐる生徒が多くなってきた。
そろそろかな、とそわそわし始める私の心。
──とその時。
たった今、校門をくぐってやって来た人たちが目に留まり、ふっ、と吹き出すように笑みが零れた。
一瞬で目を引く派手な髪色。
「日南先輩、来た!」
愛良もすぐに見つけた。
青髪の青柳先輩と赤髪の深見先輩、そしてピンク髪の日南先輩。そこだけ異次元すぎて、思わず笑っちゃった。
日南先輩と出会った当初、苗字が変わったばかりの私は、変化についていけなくて戸惑っていた。
香月のままで良かった。
坂下は自分の名前じゃない。新しい名前の人生を勝手に始められても困る。
ずっと、変化が怖かった。
そんな時、私の前に現れたのが日南先輩。
私の知らない世界を持つ人。



