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「坂下。日南を頼むぞ!」
登校して早々、用があって職員室に寄ると、キリッとした表情で石橋先生が声をかけてきた。
石橋先生は日南先輩のクラスの担任。
「すげぇ迷惑かけてる」──と昨日、先輩が申し訳なさそうに言っていた。
「頼むって?」
一緒にいる愛良が首を傾げる。
──この時、私はまだ愛良に昨日のことを報告していなくて。
一方で、石橋先生は昨日のことを知っている。
あの後、面談があるとかで教室に戻った日南先輩が、石橋先生に訳を説明したらしい。
「どうやら日南は、彼女の言うことだけは聞くようだからな」
石橋先生の返答に、冷や汗が止まらない。
「どういうこと!?サオ、もしかして日南先輩と付き合うことになったの!?」
鬼気迫る愛良の声は、職員室中に響いた。
「そうなの?おめでとう」
「相手が日南とは……大変そうだ」
「面白いカップルだな」



