キミに溺れる。〜ピンク髪の先輩と派手色な恋を〜


***


「坂下。日南を頼むぞ!」


登校して早々、用があって職員室に寄ると、キリッとした表情で石橋先生が声をかけてきた。


石橋先生は日南先輩のクラスの担任。
「すげぇ迷惑かけてる」──と昨日、先輩が申し訳なさそうに言っていた。


「頼むって?」


一緒にいる愛良が首を傾げる。


──この時、私はまだ愛良に昨日のことを報告していなくて。


一方で、石橋先生は昨日のことを知っている。

あの後、面談があるとかで教室に戻った日南先輩が、石橋先生に訳を説明したらしい。


「どうやら日南は、彼女の言うことだけは聞くようだからな」


石橋先生の返答に、冷や汗が止まらない。


「どういうこと!?サオ、もしかして日南先輩と付き合うことになったの!?」


鬼気迫る愛良の声は、職員室中に響いた。


「そうなの?おめでとう」

「相手が日南とは……大変そうだ」

「面白いカップルだな」