「ずるいです、先輩」 そっと目を閉じた私の唇に、日南先輩の唇が優しく触れる。 初めてのキスは、ドキドキしすぎて何も考えられなかった。 でも、唇が離れて微笑んだ日南先輩の──桜よりも綺麗な笑顔は、絶対忘れない。 私の世界は、桜の栞を挟みながら広がっていく。