日南先輩だけじゃない。

青髪の青柳先輩、金髪の桐生先輩、いつも黒マスクをしている光石(みついし)先輩、ラベンダーカラーの花森(はなもり)先輩──みんな派手で、威圧感がある。


問題児集団の中には同じ1年生もいるけど、彼らもみんな同級生とは思えない大人っぽさがある。


私とは別世界の人々。



そんな光のような集団をぼーっと見ていたら、ふと。
光の中心──日南先輩がこっちを見た。


「──っ!」


目が合ったような気がして、思わず顔を背ける。


……やっちゃった。
ちょっとあからさまだったかも。

これじゃあ、背けるというより思いきり無視したみたいになっちゃった。気のせいかもしれないのに。


……でも、なんでこっちを見たんだろう。
私の周りが騒いでいるから?


「日南たちが来たならランウェイの位置取り決めよう!……1年は照明と裏に分かれて」


響き渡る、マイクを通した先輩の声。
急に場が引き締まる。


……やばいやばい。ぼーっとしている場合じゃない。
怒られないように働かないと!