1年6組に到着して──教室に入るより先にしのを発見。


ドア付近に立っていたしのは、俺を見てあからさまに嫌そうな顔をした。

……俺もさっき、こんな顔してたのかな。


「俺からしのへ、愛のプレゼント」と言って、世界地図を渡す。


「いらね」

「いや受け取れよ。授業で使うんだろ」


仕方なく受け取るしの。

いちいち俺の行動とシンクロしてる。



世界地図が手元から離れた俺は、ふと、視線を教室内に移した。


窓際1番後ろの席。
そこに人は座っているけれど、机に伏していて顔が見えない。


授業と授業の合間──会話が飛び交う賑やかな教室で、そこだけが妙に静かだった。


「サリーちゃん、寝てるの?」


伏しているのがサリーちゃんだってことは、顔が見えなくても垂れたポニーテールでわかる。

そもそもそこはサリーちゃんの席。


「さあ?知らない」

「……サリーちゃんってさ、クラスだと誰と仲が良いの?」


興味なさげなしのの返答を聞いて、不意にそんな疑問が出た。