「辻堂くん、帰ろう」
教室の入口から果穂が辻堂くんを呼ぶ。
果穂は一度もこっちに視線を向けず、辻堂くんと仲良さげに帰って行った。
果穂に対してモヤモヤがあったはずなのに、今は何も感じない。
心すっきりまっさら。
──それもすべて、日南先輩のおかげ。
日南先輩に告白されてから、一切果穂のことを考えなくなった。
『俺は真面目じゃないけど、裏なんてない。本気だから』
今思えば、あの言葉……私が果穂から言われた言葉に対する否定だったのかな。
そうやって真正面からぶつかってきてくれる──
私は、真面目な人より日南先輩がいい。
いつも隣で楽しそうに笑ってくれる日南先輩がいい。
やっとわかったのに。
なんで日南先輩がいいのか。
日南先輩のことが好きだから、私は日南先輩がいい。



