キミに溺れる。〜ピンク髪の先輩と派手色な恋を〜


庭と言っても立派なものではなく、コンクリートの地面と少しばかりの芝生、それと花壇といくつかのベンチがあるだけの広場。


昼休みや放課後になると多少の人が集まるけど、今は誰もいない。

……そう、思っていた。


視界に入ったのは、体育ジャージを着る花森先輩。

運動しやすいように、ラベンダーカラーの長い髪を1つに結っている


同じポニーテールでもオシャレさが全然違う。


──そんな皮肉なことを思ってしまうのは、花森先輩が話す視線の先にいるのが日南先輩だったから。


1階の理科室の窓を開けて、花森先輩と喋っている。ふんわりあどけない笑顔を見せて……。


何を話しているかは聞こえない。

でも……、日南先輩も花森先輩も……。その笑顔を見たら、楽しそうなのが伝わってくる。


私が最後に見た日南先輩の笑顔は、戸惑ったように作る笑みだった。


……もう私には、その笑顔を見せてくれないのかな。


心を抉るような黒いモヤモヤが渦巻いて。

同時に、目頭が熱を帯びる。


2人から顔を背けて、早足で渡り廊下を通り抜けた。