私の世界から日南先輩が消えた。
屋上に行かないだけで、こんなに会わないものなんだ。
どこにいるか勝手に入ってきた目撃情報もぱったり。
GPSが壊れた──わけではなく、どうやらずっと教室にいるよう。
「なんか静かだねー」
「冬だからかな」
そんなクラスメイトの会話を小耳に挟みながら、教室移動の準備をする。
1人で歩く校舎は色を失った。
ピンクに色づいたはずの世界は──モノクロのように冷たい。
グレー味の強い白い壁。傷やペンキのついたベージュの床。元から校舎は無機質な色。
もっと柔らかい色に溢れていた気がしたのに……。
寂しい。
と感じるのは、1人だから……?
────ふと。
教室があるA棟と特別教室があるB棟を繋ぐ渡り廊下。
窓からは、A棟の廊下とB棟の教室──そして、中庭が見える。



