キミに溺れる。〜ピンク髪の先輩と派手色な恋を〜


教室に戻った私は、1番後ろの自分の席に突っ伏した。



好きの種類が1つならこんなに悩むこともなかったのに……。


私にとって日南先輩はヒーロー。


両親が離婚して身の回りの変化に戸惑っていた私の心に光を差してくれた。

先輩に悪口を言われてすべてが嫌になった時、私を庇ってくれた。


嬉しかった。だから……日南先輩のことを知りたいと思った。



青柳先輩、深見先輩、光石先輩、桐生先輩──問題児集団と関わる機会があって、彼らを通して日南先輩を見てきた。


周りをも笑顔にする日南先輩は、太陽で、桜で、光のような存在。

素敵がいっぱい詰め込まれた人だった。



日南先輩が好き。

──先輩を知った時から抱いていた感情。


でもそれは、

「一緒にいて楽しいから好き」
「助けてくれたから好き」
「笑顔をくれるから好き」
「優しくしてくれるから好き」


──あくまで好意の範疇。
愛しさを伴う愛情とは別物。


……そう思っていた。