キミに溺れる。〜ピンク髪の先輩と派手色な恋を〜


『付き合っていた』

その事実が自分の中にすんなり入ってきたのは、一度でも想像したことがあるから。


まだ日南先輩と知り合う前。

学校一の人気者と美女──安易に想像できる組み合わせだから、友達と「付き合ってるのかな」なんて話した覚えがある。


その時に聞いていたらなんとも思わなかった話。

でも、今は……。


「日南といると楽しいから好きだって思ったんだけど……すぐ気づいたの。日南への好きは恋愛感情じゃなかったって。だから、『日南とは友達でいる方が楽』って言って別れた」


顔を上げると、花森先輩は困惑と懐古を交ぜた顔で微笑んでいた。


「恋愛感情じゃないってどうしてわかったんですか……?」

「あたしの場合は、嫉妬しなかったからかな。日南が女子と仲良くしていても気にならないし、日南を好きだって子の話を聞いても焦りとか生まれなかった」

「……っ」

「それに、カップルらしいことって一緒に帰るくらいで、手を繋いだりキスしたりもなくて……そういう感情すら芽生えないのって、男として意識してないんだなって気づいたの」