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日南先輩は学校一目立つ人。

ピンク色の髪と端正な顔立ち。

見た目もそうだけど、いつも笑顔で明るくて中心にいる──そのムードメーカーな性格が常に人目を引く。


たくさんの人に囲まれて……周りには可愛い女の子がいる。

私を気にかけてくれるからと言って、その現実からは目を背けられない。


日南先輩と関わるようになって距離が近くなったのに、恋愛に関しては遠い存在のまま。

だって、関われば関わるほど、日南先輩の周りの可愛い女の子たちが目につくから。


日南先輩を射止めるほどの魅力が、私にはない……。



人の出入りが激しく、他クラスの生徒もやって来て、賑やかなのが昼休みの教室。


トイレから戻って来たら、すでに愛良と果穂がお弁当を持って私の席で待っていた。


お待たせ──と声をかけようとした私。

しかし……。


「あれ……日南先輩じゃない?」


クラスメイトのその言葉に動きを止めて、振り返る。


視界に飛び込んできたのはピンク色の髪。

教室の入口からキョロキョロ見回していた彼──日南先輩は、私と目が合うと教室に入って来た。