「チャラ……?」
「俺のこと凄いって褒めてくれただろ」
「はい」
「俺も『よく俺なんかが妃愛を落とせたよな』って思うのに、みんなの認識は逆なんだよ。……妃愛ですらそうだし」
……あ、そっか。
カッコよくて、頭も良くて、運動もできて、高身長──そんなハイスペックな桐生先輩を『よく彼氏にできたね』って思うのが普通かもしれない。
だからさっき、一瞬、場が固まったのか。
何言ってんだ、こいつ──って。
「だから、サリーはよくわかってるなーと思って」
「それでチャラになるんですか……?」
「なる。サリーが妃愛の良さに気づいてくれて嬉しい」
今度は目を細めて笑った。
慈しむ表情──柴戸先輩を想って、無意識に見せた表情だとわかる。
心の桐生先輩ノートにメモるならやっぱり……実はハイスペックなこと。
それと、彼女が大好きなこと。
普段は物憂げな感じなのに、彼女には甘々みたい。



