「まさか……妃愛の言ってた後輩の女の子って」
「うん。坂下彩織ちゃんのこと」
まさかの事実にがっくりと項垂れるのは、私と桐生先輩。
日南先輩は「ぐうぜ~ん」なんてケラケラ笑っている。
なるほど。つまり、桐生先輩をベタ惚れにさせている彼女は柴戸先輩で。彼女を取ったどこぞの誰かっていうのは……私かぁぁぁ!
知らなかったとは言え、申し訳ない……。
ていうか、驚きはそれだけじゃなくて──
「桐生先輩……学年1位って」
「桐生ってこう見えて頭良いんだよ、不真面目なだけで。運動神経も良いし」
新たなる衝撃。
人は見た目じゃないって、日南先輩と関わるようになってからより実感している。
「桐生先輩、ハイスペックですね。その上、柴戸先輩を射止めたなんて……凄すぎる!」
パチパチと拍手を送る。
──が、どういうわけか場の空気が固まった。
え……、なんか変なこと言った?



