キミに溺れる。〜ピンク髪の先輩と派手色な恋を〜


そういうことか。私、まだ辻堂くんに未練があると思われていたんだ。

日南先輩にまでそう思われていたのは、ちょっとショック……。


「私、本当に辻堂くんのことはもう気にしてないです……って言ったと思うんですけど」

「でも、なんか返事が曖昧だったし」

「あれは、辻堂くんのことではなくて、果穂のことで……」


そっか……。まだ気になっているのか訊かれて『気になってない』って答えた時、果穂のことを考えていたから言葉に詰まったんだった。

それで勘違いしたんだ。


「果穂っていうのは、辻堂くんの彼女で」と前置きをしてから、あの時のことを話す。


「果穂に辻堂くんのことを話していたから言い辛かったのはわかるんですけど、付き合ったことを教えてもらえなくて……。その時のモヤモヤが残っていたから、曖昧になっちゃっただけです」


日南先輩の反応が気になって、チラッと横を見る。


「それ……本当?」


目を見開いていた。


こくり頷いて肯定を示せば、
日南先輩は「マジかぁ」と呟きながら全身の力を抜いた。

手を離すチャンス!だと思ったのに、手だけは力を抜かなかった。


これ以上繋いでいたら、変な汗が出そうなのですが……。