辻堂くんの整合性のない言動に多少の引っかかりを覚えた。隣に日南先輩がいることも、もちろん頭にあった──けど。
私は、特に深く考えず、立ち上がろうとした。
────しかし。
「話ならここですれば?」
抑揚のない声で日南先輩が言う。
その手は、引き止めるように私の手を掴んでいた。
机の下でぎゅっと繋がれた手。
私は、身動きが取れなくなった。
「いや……えっ、と……日南先輩たちと、どういう関係なのかなって……」
辻堂くんは、日南先輩から目を逸らし、私だけを見る。
その目は僅かに怯えの色を持っていて……やっぱり、辻堂くんも日南先輩たちが怖いんだ。
どういう関係か改めて問われると、どう答えていいのかわからない。
先輩と後輩……その答えでいいのかな。
訊かれているのは私。
私が答えないといけないのだけれど……。
なぜか答えたのは、日南先輩だった。
「友達だよ。いじめてるわけじゃないから安心しなよ」



