月夜に笑った悪魔 (番外編)



聞こえてくるのは、右耳から。
これは……なにか通信機が右耳につけられてる?


でも通信機って岳が壊したはずじゃ?
……あ、別のやつ持ってたのかな。予備とか。


睡眠薬も持ってたし、岳はいろんなものを持ってるからきっとそう。


『お前のまわり、今人はいるか?いたら目、つむってなにも話すな』


物音と一緒にまた聞こえてくる岳の声。
私は縛りつけられている男性へと視線を向ける。


……人は、一応いる。
けど、あの人は縛られて動けなさそうだし平気かな……。



「あのさ、隣の柱に縛りつけられてる人ならいるんだけど……」
『そいつは俺がやった』


一応言ってみれば、まさかの。

岳があの人を縛りつけたんだ……。


「岳、今どこにいるの?ケガとか──」
『時間がないから無駄な話はあとにしろ。今は俺の言うこと聞け』


聞こうとしたら遮られる。


心配だから聞こうとしただけなのに。
ちっとも無駄な話なんかじゃないのに。