月夜に笑った悪魔 (番外編)



これは……絶対私に向けられたもの。


ぱっと前を見れば、目に入ったのは白いシャツの上に黒いベストを着た30代くらいの男性。
トレイの上にいくつも飲み物を乗せて運んでいるから、この人がウェイター。


「……いたの?」


カチッと通信機のボタンを押しながら、私は小さく声を出す。


接触しろ、ってことはこの人が怪しいってことだろう。


『早くしろ。そいつは元月城組だ』


次に聞こえてきた声。



“元月城組”。


爆破予告と殺害予告をしたのは、月城組を名乗る人物。
月城組をやめてたまたまここにいたという可能性もあるが……今日ここにいるということは、あんな予告をした人物という可能性も充分にある。



顔見知りを見つけたから、正体に気づかれないように念のため岳はここから離れたのか。

……よく見てるな。