……すごすぎる。
こんなところに来れることなんて、きっともうないだろうな。
「ここにいる人たちってみんなお金持ちの人なのかな……──って、あれ?」
きょろきょろ会場内を見渡して、隣に目を向けるが……。
隣にいたはずの岳の姿はなかった。
……え?
いつの間に!?
どこに消えたの!?
岳とは一緒に会場内に入って、ついさっきまで一緒にいた。
本当に、ついさっきまでは一緒にいたのに。
この数秒でなにがあったんだ。
目を離したのは、ほんの数秒なのに。
きょろきょろとまたまわりをよく見渡していると。
『……オンナ。おまえのすぐ近くにいるウェイターと接触しろ。
それからなんとかして会場の外へ連れてけ』
急に、右耳につけていた通信機から聞こえてきた声。
その声は、岳の声だった。



