「……来い」
無言で睨まれたあと、振り払われた手。
今度は私が腕をつかまれると、岳は歩き出す。
足早に歩き、私も必死でついて行く。
これは……もしかして。
やっと一緒に行く気になってくれた!?
──なんて思ったが、岳は近くにあった柱の後ろへと行くと、そこに私を押し付けた。
まだ紫乃と暁が乗っている車から見えないところに移動しただけ。
「オンナ、おまえ生意気なんだよ」
低い声で言われ、見下ろされる私。
この男は、私と一緒に行く気はまだないらしい。
……なんか、だんだんめんどくさくなってきた。
恐怖心を越えて、めんどくさい気持ちのほうが強い。
「その言葉、特大ブーメランだね。岳だって生意気じゃん。それと……ワガママ!」
私は強く返した。



