「岳様……っ!!」


ホテルの地下駐車場に到着後、岳は1人で車をおりていく。
紫乃の声もぜんぶ無視して。


岳も暁も、結局は変装なんてしていない。
だから、“月城岳”と“一条暁”ってひと目でわかる状態。


2人ともそこそこ有名人なのに……。
……潜入捜査、とは。



幸い、地下駐車場にひと気はないけど。
このままホテル内に入ったら潜入捜査の意味がなくなってしまう。



なんて迷惑すぎる独断行動。





「こうなったら仕方ないわ。
美鈴、あなたは岳様と組みなさい。美鈴と岳様が怪しい人物と爆弾の捜索、私と暁が社長の護衛、に変更しましょう」


あとこれを岳様に、と付け足して紫乃が私に手渡したもの。
それは、茶髪のカツラ。