わかってる。
今の暁は、私に前みたいなひどいことはしない。


前みたいに、私が危険な状況なのにわかっていても助けない、なんてことはしないだろう。


それは、わかってるのに……。





「おまえが危なくなったら何がなんでもすぐ助けに行くから」


頬に添えられた手。
まっすぐに目を見つめられて、私は小さく「約束ね」と返した。



そうしたあと、停まった車。
どうやら赤信号で停まったみたいで、紫乃が振り向いて。



「2人とも起きてるみたいだから今渡しておくわ。
会場ではこれ耳につけてなさいね。これで緊急時に連絡が取り合えるから」


彼女が差し出したものは、イヤホン型の小さな機械。