「…………」


遅れてキスされたことを理解。

まわりにいるのは、見送りに来てくれた数人の組員。


……見られた。
……人前でキスされた。


まったく、暁は……っ!
キスする場所くらい考えてくれてもよくない!?



顔が熱をもって火が出そう。


私は軽く組員の人たちに頭を下げて。
暁にも見送られながら早足で車へと乗り込もうとした、その時。







「組長!?」



突然、聞こえてきた大きな声。


「組長、大丈夫ですか!?」


続けて聞こえてくる声は焦ったような声で……。
私は足をとめて後ろを振り返る。



石になったように固まっていた暁。
彼は一気に顔色を悪くして、数秒後




「親父……っ!」



彼はすごい速さで走っていく。

まわりにいた組員の人たちも慌てたように走っていった。