「美鈴」


脳内に響く声。

体を揺すられた気がしてパチリと目を開ければ、目の前にいた暁。



……あれ?
……暁、いつの間に?



「危ねぇし風邪ひくから外で寝るな。凍死すんぞ」


そう言いつつ彼は私の首に自分がしていたマフラーを巻いてくれた。



嘘!?
私、外で寝てた!?


自分でもびっくり。



今日は大晦日。

バイトが終わった私は外に出て、迎えに来てくれる予定の暁がまだ来ていなかったから、待っていたところだった。


外で待っていたのは、一刻も早く彼に会いたかったから。


雪が少し降っていたけど、会いたい気持ちのほうがやっぱり強くて。
閉店後のお店の駐車場のパーキングブロックに座って待ってたんだけど……寝てたとは。


「雪積もってる」


彼は笑いながら私の頭の上の雪を払ってくれる。


ほんと、凍死しなくてよかった。
この寒さの中寝るとかやばすぎるよ、私。