暁はキスしてほしかったんだ。
なにも言わなかったからいらないのかと。
いったん立ち上がって、私は暁と向かい合う。
黒い瞳が私を捉えて、まっすぐに見つめてる。
きれいな瞳。
瞳だけじゃなくて、顔がもう完璧なんだよな。
「暁ってどこから見てもかっこいいよね」
あと可愛い!、と付け足して私は右から彼の顔を見たり、左から顔を見たり。
整った顔をいろんな角度からよく見た。
やっぱりかっこいいし可愛いけど、女の子が寄ってくる顔なんだよなぁ。
「……急になんだよ」
「浮気しないでね?」
「するわけねぇだろ」
「浮気したら許さないから」
「だからしねぇって」
「……シゴトでさ、女の子と会うことある?」
「関わることもあるけど……。俺がとられないか、そんなに不安?」
「うん。だって、暁がいないと私はもう生きていけないから」
「……熱の時と酔っ払った時は素直だな」
彼の手が伸びてきて、私の手を握る。
その手は冷たくて氷みたいだった。



