彼の言葉は胸の奥深くに広がっていく。
ついさっきまで不安で包まれていた心。
今度は温かさに包まれて……
「……一生離さないで」
私は小さく返して彼の背中に手をまわした。
それから、何十分抱きしめあっていたかはわからない。
けっこう長い間彼の腕の中にいて……離れた時には、暁のシャツはシワだらけ。
私が彼のシャツを涙で濡らしたり、強くつかんでいたせいだ。
「ごめんね?」
「いいって。鼻水垂らして泣いてる美鈴、可愛かったし」
「は、鼻水は垂らしてない……っ!」
たぶん、と心の中で付け足す。
「元気そうでなにより」
彼は笑うと袖で目元を拭ってくれた。