月夜に笑った悪魔 (番外編)



黙っていれば静かな室内に響いた、6時間目の授業開始のチャイム。


「美鈴」


鳴り響いたあとに呼ばれた名前。

ぐいっと顎を持ち上げられ、まっすぐな瞳と目が合う。


言いたくない、のに……。
その瞳に見つめられるとなぜか黙っていられなくなってしまう。



「……私の体、汚いの。暁がはじめて好きになってくれた私は今どこにもいないの……。私は暁にふさわしくないんだよ……っ」


嗚咽混じりに声を出した。
小さな声、だったけど……それはしっかり暁に届いたようで。



「汚くねぇよ」


彼はすぐ返す。


……暁は、ちゃんとわかってない。
ちゃんとわかったら、そんなこと言えないもん……。



「わ、私、和正と──」
「言わなくていい」


震える声で言おうとすればそれを遮られた。


「それ以上はなんも言わなくていいから」


ぽんっと頭の上に置かれた大きな手。