月夜に笑った悪魔 (番外編)



「……うん」


小さく返事をして、ドアを閉めて。
彼が座る奥のソファへ。


隣に腰をおろして、自分の鞄を開ければ見えたのは彼のジャージ。


……渡さないと。





ジャージを出して、それを隣にいる彼に差し出した。


「……暁。あのさ、これ、私が持ってきちゃったみたいでさ……。早く渡しに行かなくてごめん。ちょっと休み時間は寝てて……」


一瞬目が合うが、やっぱりすぐ逸らして下を向く。


休み時間、寝てたなんていうのは嘘。
3時間目のあとの休み時間もちゃんと起きていた。


……その時、渡しに行く勇気がなかっただけ。



「あぁ、さんきゅ」


彼はジャージに手を伸ばして受け取ろうとしたところで。

少し触れた指先。


「……っ!」


私は、慌てて手を引っこめる。
そしてぱさりと床に落ちる、彼のジャージ。