いつまでも見ていれば、つかまれた手首。
私が手に持っていたのは食べようとしていたグラタンがひとくち分のったスプーン。
つかまれた手首を引っ張られて……彼は自分のほうへと引き寄せるとそれをぱくり。
食べたのはもちろん暁。
彼はもぐもぐと口を動かす。
「あっ」
遅れて出た声。
……食べられた。
とまってた私が悪いっちゃ悪いんだけど。
「よそ見禁止」
ごくんと飲み込むと、暁は私の頬を軽く引っ張る。
ムニっと何度も引っ張られて、「変な顔」とひと言。
……失礼な。
少しムカつくけど、暁が笑った顔は可愛く見えて憎めない。



