ホテルの従業員の方々は、お酒もたくさん置いていってくれたんだった。
私たち、全員成人だと思われたんだろうな。
暁も岳も紫乃も大人っぽいし、私も化粧してたから。
実際は、この中で成人してるのは紫乃だけ。
「すみません、岳様!そちらのほうがよかったですよね!なにも聞かずに入れてしまい本当にすみませんでした……!今ワイングラスのご用意を──」
「俺は今日は飲まないが、お前は遠慮せず飲め」
「わ、私、ですか!?ありがたいお言葉ですが、私だけ飲むのは申しわけないので……。それに帰るまでがシゴトですのでこの場で飲むのは控えさせていただこうかと……」
「稲森、赤ワイン好きだろ。遠慮しなくていい」
目の前に座っている2人を見て、私はピタリと動きを停止。
思わずじっと見てしまった。
岳が……あまりにも優しい表情をしていたから。
いつもキリッとしてる岳でもこんな表情できるんだ……。
……紫乃の前だからそういう顔するのかな。



