暁が唇を離して私の濡れた頬を自分の指で拭うのと、ほぼ同時──。
部屋に鳴り響いた着信音。
それは予想していなくて、心臓が大きく跳ね上がる。
音は目覚ましなんかじゃない。
鳴っているのは、私の横に置いてあるスマホ。
このスマホは、私のもの。
音からして電話だ。
私の上にいた暁が体を離して、私は自分のスマホに手を伸ばす。
画面を見ると表示されていた文字は、【稲森 紫乃】。
紫乃?
どうしたんだろう……。
起き上がって、私は通話ボタンをタップ。
「も──」
『ちょっと部屋出てこれる!?』
声を出そうとしたところで、大きな声に遮られた。



