その笑みに、黒竜たちは後退りしました。
怖かったのです。無理矢理張り付けたような笑顔が。


「今から私は死ぬ。何も言わず、私の話を聞いて。
　元姫の狂言…とでも思ってくれて構わないから。」


葵花はゆっくりと口を開きます。
黒竜も、美帆も、莉愛も、何も言えませんでした。


「私はあんた達を恨む。
　ずっと、ずっとあんた達を愛していた私の心も、冷めてしまった。
　狂わせたんだよ。あんた達が。私を、死を怖いと思わないバケモノにしたんだよ」


「絶対許さない。私を苦しめて、追い詰めて、ズタズタに傷つけたくせに幸せそうに笑っちゃってるあんた達を。一生ね。
　嘘だったんだよね。あの言葉は。
　あんた達はもう、あんな約束覚えてないと思うけど、私はずっと覚えてたよ。
　いつか、あんた達が目を覚ますことを信じて……。」




「でももう、目を覚ますことは無いって分かっちゃったから、私が永遠に目を瞑るね。」