約束の指にキスして。

匡ちゃんは私の手とドレスを持って、歩き始めた。

「…匡ちゃん、私なんかでいいの?」

フカフカの絨毯を踏みしめながら歩き、目を反らしたままの匡ちゃんに問いかける。

匡ちゃんはある一室に私を案内すると、ふわりと私を抱き締めた。

「瑛梨…綺麗だよ。」

そう言う匡ちゃんの声は震えていて、私はそっと匡ちゃんの背中に手を回した。

昨日からずっと思っていた。
この人も、無理に自分を繕っているんだって。
なんか事情があって、こんな事してるんだって。

匡ちゃんは私から手を離すと、ドアノブに手をかけた。

「匡ちゃん…?」

「俺はまだ用事があるんだ。」