約束の指にキスして。

『桔平……きっぺぇ…健司…』

すでに練習時刻は過ぎていて、体育間には誰もいない。
アタシの声だけが響く。

ライトだけ。
アタシを包む物は。

『健司、きっぺ───!!』

『なに。』

後から声がする。
振り替える前に気付く。
このこえは、桔平だって。

『きっぺぇ……』

『なに泣いてんだよ。』

アタシは、その声と姿に少し期待していた。

でも、裏切られる。

いつもアタシの涙をぬぐってくれる、暖かい手が伸びて来なかった。

『きっぺぇ…』