* º ~ º *
次の日、私は学校を休んだ。
早起きをして家から少し離れた丘から街を眺めていた。
ここには滅多に人が来ないし、私しか知らない場所あるから学校みたいに気を張らなくて済む。
ふさふさの草の上に寝転んで遙か彼方の空を見据える。
そんな中で雀たちが仲間と戯れながら青い空を飛んでいった。
楽しそう。
「私の楽しみってなんだろう……」
考えてもわかんないや。
「……いつか報われたらいいな」
ぼそりと呟いた望みは朝の生まれたての空気に呑み込まれて消えた。
この想い、誰にも届かないのかな。
そっと目を閉じた。
目を閉じた先に刃物のような切り傷がたくさん付けられている扉があった。
その扉は鎖が何重にも巻かれ、南京錠が掛けられているのも見えないほどだった。
この扉は私の“心”。
傷付けられた傷が癒えるまで、どれだけ時間が掛かるのか…。
そんなことを考えると気が遠くなりそうだ。考えたくもない。
どれくらいそうしていただろうか。
やっと動く気になって上体を起こした。
お参りしに行こう。
この先に丘から顔を出している森にとりあえず向かう。
確かここにあるはず…。
「発見」
そう言って口角を上げた。
木の幹に結びつけてある赤色の紐。
私の髪紐を目印として結びつけていた。
結んだ当時はこれしかなくて仕方なくという感じで少し不満だったけど、今だとなかなか可愛くて好き。
さて……心を落ち着かせて呟く。
「赤紐から1時の方向に進むべし」
「2個目の目印、光が射し込むところに木、3本連なる」
目を閉じてイメージする。
「3個目の目印、小さな湖越せば見えるなり」
あの湖にこの前うさぎいた気がする。
もういないだろうけど…。
これの通りに行けば見つかる。間違えなければ。
「この紐から1時の方向……。大体ここかな」
再度、角度を確認して進む。
少しずれるだけで結構イタイ。ちゃんと真っ直ぐ歩かなきゃ。
「わっ……」
早速、木の根っこに引っかかって転びそうになった。
危ない…。
そうして、ハッとしたときには遅かった。
あ、あれ…? えっと……こっち、だよね…?
転んだ方向も進行方向だったからこっちで合ってる、はず……。
なんだか、自信がなくなってきた。
いや、きっと大丈夫だよ。こっちが正解だ。
進んで行くと、さすがに異変に気が付いた。
なんと……2個目の目印がない…。
光が差し込んでる場所なんて見当たらない…。
これは迷子…? ここで死んじゃうのかな。まだ明るくなったばかりなのに…。
落ち着けなくなって、冷や汗が止まらない。
「いや落ち着いて……戻ろう」
来た道を戻れば出れるはずだから。
180度回転! そして進もう!
この判断が迂闊だった。



