【 ノアside 】
腹が痛い。臓器が傷付いてしまった。
肩からは血が噴き出し、傷は一向に塞がらない。
感情は色んな方向を向いて、まとまろうとはしない。
以前の余裕のある俺とはかけ離れた弱い俺だ。
これも全て風音の、せいだ…。
風音に出会わなければ、あんな出来事に巻き込まれず、この痛みも味わうこともなかっただろう。
全て、風音が撒いた種だ。
俺が巻き込まれる筋合いはない。
「、、、、、」
ずーんと肩を落とす。
なんだこの晴れない気持ちは。
「主さま」
「なんだ、ミライ」
「探しに、行かなくても良いのですか」
何故俺が?
「風音さまが攫われてからというもの、主さまは落ち込んでいらっしゃるように見えます」
そんなことはないだろう…。
「後悔しているようにも感じられます」
「…俺には関係ない」
ミライは少し黙った後、こう答えた。
主さまは私に風音さまの護衛を頼みましたね。
今は手の空いている者は風音さまの捜索へ行っております。
風音さまの居場所はなんとなく分かっています。
「ですが…先程から風音さまの気が感じ取れないんです」
つまり、風音は息をしていないということか…?
「もし風音さまの身に何かあれば、どうする気なのですか」
どうか、ご指示を。
ミライは自分のためには滅多に動かない。
そんなミライが……。
主さまも、風音さまがお好きなのでしょう?
俺は風音が、好き、、なのか……?
ドクンと心臓が脈打った。
真っ白な頬を赤色に染めてノア、と呼ぶ。
強ばったあの顔。壮絶な過去。すべて分かっていた。
細く痩せた不健康な身体。
目にはくっきりと隈ができて、辛そうに呼吸する風音は病気にでもかかっているのかと疑った。
可哀想だと、助けたいと思った。
彼女…風音なら、俺を救ってくれると思ったから…。
風音を抱きかかえても、体が拒否しなかったから。
大丈夫だと信じた。
あの笑顔を思い出すだけで、心が温まる。
「………体制を整え一ヶ月後、犬野郎のところへ風音を助けに行くぞ」
俺は風音が好きだ。
あんな犬野郎に風音を渡せるかよ。
絶対に取り返すからな。
待ってろ風音。



