もふもふ耳には危険あり!



* º ~ º *


ここでの生活が身に染みついた頃、私は楽天的に猫たちと戯れていた。



「ミライちゃん! いっぱい採れたよ~」


「にー!」


「そんなに嬉しいか」


「当たり前! ご飯は大事だよ。ミライちゃん、食べよっ!」



猫たちときゃっきゃ騒いでいる傍で、私をジッと見つめていた者がいた。



「これ美味しい…!」


「にゃんにゃん」


「アオくんもあげるよ!」


「……」



あはは、今日も無愛想だね。



騒ぎまくって草の上に寝転がってお昼寝をしていた。



そんな時こそ、平和は一瞬にして崩れていく。



突然、みんなが耳を澄ませ、私も空気が変わったのがわかった。



「な、なに…」


「静かにしろ」



さっきまで気怠そうにしていた姿が嘘のように、私を背に周りを警戒している。



ウォーン



咄嗟に脳内には、月をシンボルに狼が遠吠えする一枚のシーンが浮かんだ。



「帰るぞ」



ノアは何か焦ったように私の手を引いて、ただひたすら走った。



最初は全くと言って良いほどわからなかった、ノアの表情の違いわかるようになったんだな、と感動。


ってこんな吞気なこと考えてる場合じゃないっ…!!



状況が危ういようだ。



「ノ、ノア」


「あいつが来た」



あいつ…?



「名前は忘れた。あいつは野蛮な野良犬だ」



ノアの言い方からして悪いイメージしかない。


何か怖くなってきた…。



ワンワンッ



「…近いな。もうスピード上げれないか?」


「も、むりっ…足が縺れそうだよ…」



何とも弱々しい声なんだ…。


貧弱な体だな、本当に。



「はぁ、仕方ない騒ぐなよ」



ため息が聞こえたと思ったら、私を軽々と抱えるノア。



「な、なんでっ…!」


「うるせぇ」


「降ろしてっ…」



初めてのお姫様抱っこに体がガチガチに固まってしまった。



「大人しくしろ」


「むっ、無理!」


「うるせぇよ、場所がもっとバレるだろ」


「………」



ここは引き下がる。さすがにこれ以上事を大きくしたくないし、意識すればするほど……。


顔から火が出そうなほど真っ赤に染まった。


この状況が切羽詰まっているにもかかわらず、手で顔を覆い恥ずかしさでいっぱいだった。