「エステル、千姫、歌姫、雅、アヤメ……」
何やら呟いて数えている。
「巫女は歴史も古いし、今までに何度も変わった。短命だった者もいたからな。最短で2週間、最長で143年」
「ええっ!」
ということは、143歳も生きたの…? すごい…!
でも逆に二週間ということは……考えたくない。
「そうだな…120代は確実に越えている。風音で186代目だろう」
「私は…186代目……」
「風音の力はまだわからない。何か心当たりはあるか?」
首を横に振る。
「まあ、それが普通だな。怪しいと思ったら言えよ」
「う、うん……」
思い当たる節なんてないんだけど…。
そんな急に、あなたは巫女ですって言われても頭がついていかない…。
「私は、本当に巫女なの…?」
「あぁ」
私の気を知らず、いとも簡単に頷くノア。
その首が横に振られていたなら、どれだけ良かったか…。
「巫女に力がないっていう例はあったの?」
「…確か、六十代目頃に力を使わぬ巫女がいたが……」
苦いものでも食べたかのような渋い顔をして語った。
「当時は巫女に期待を抱かれていたから、力をもたぬと思った人々は巫女を偽物だと疑い、殺した」
「ひっ……」
も、もしかして、私が力をもってなかったら殺される…?
「その巫女は偽物ではなかった。力は使わなかったが、彼女は神の遣いだった」
神の遣いは、神の声が聞こえる力だ、そう力強く言った。
「じゃあ巫女は巫女で、力はあるんだね…」
私にも……。
「ちなみにジュリは神に近い存在だが、俺らに近い存在でもある」
んん? どういうこと…?
「ざっくり言うと中立的な位置いる重要人物だ」
「ふむ…」
一度整理しよう。ノアが今言っていることをまとめると……。
私はこの世界に必要な存在だった巫女。
どんな力をもっているかはわからないけど、巫女であるが故に何かを成すため、ここに来た。
ジュリは神と人間の間に立っている人物ってこと…?
良く理解できてないけど…。
「ジュリが私はここに来なければいけなかったって言ってた」
そういえば、あの警告……。
私が巫女だから言ってくれたんだ…。
それを知らずに勝手にここを出て三毛猫さんとはしゃいでた。
これから軽率な行動は慎めるべきだ。
「風音はここに来れなかったうえに、来ないように神はしていた。この世界との狭間が破れて、たまたま風音が迷い込んでしまったようだぞ」



