* º ~ º *
「うーん、あつぃ…」
いくら涼しい季節とはいえど、太陽は眩しく日に当たり続けると暑い。
私、昨日カーテン閉め忘れたのかな…。
それがあまりにも鬱陶しくて、でも起きたくなくて。
寝返りを打って目を開くと、私は飛び起きた。
目の前には、少年のような幼い寝顔で眠っている青年がドアップに映った。
その無防備な寝顔が赤ん坊のようにあどけない。
そういえば、私の家じゃなかった…。
吞気にあんなことを考えてた数分前の自分が馬鹿みたい。
色々ノアに話してもらわなきゃ。
起こそうかと手を伸ばしたけど、その手を引っ込めた。
起こすのは可哀想だし、何より寝起きが悪いから…。
起こすのは、気が引けた。
私はしばらく経った後、布団から出てギシッと音を立てて軋むベッドから降り立った。
そのまま重い扉を抜け、殺風景な廊下を渡り階段を降りると……目の前の光景に目を疑った。
足元を駆け抜ける小さな姿。
4本の足で走り回り、時折ピクッと反応する可愛らしい耳。
手にはピンクや黒など、様々な色をした肉球。
「ねっ、ねこ…!」
その瞬間、寝ていた子たちも一気に目を覚まして、たくさんの目が私に集まった。
何も悪いことしてないのに、何されるかわからない恐怖で、身を縮こませた。
あんなに楽しそうだったのに、それが嘘のように、私をジッと見つめるばかりで……。
しかし、一匹の猫だけは私に近づいてきた。
「みゃ」
「…あ…あの時の、三毛猫さん…」
三毛猫だなんて、ここにはたくさんいるのに、名前がわからないからそう呼ぶしかない。
すると突然、その三毛猫が他の猫に向かって何かを話していた。
「んにゃにゃにゃ、にゃみんみー」
「に~」
「みゃーにぁ」
…良く、わからないけど何か説明しているみたい。
子猫たちは興味津々に私の服の匂いを嗅いだり、髪の毛で遊んだりしていた。
「いたたたたっ」
さっきまではまだ弱い力だったのに、急に強い力で引き付けられた。
その原因は成猫だった。
髪の毛抜けちゃったかな…。
まあいいや。
「おっ、おはよう…」
おどおどした感じの挨拶になっちゃった。
「にゃー」
「げ、元気、だね」
みんな髪の毛好きなの…? すごい引っ張ってくる…。
気付けば、辺りは猫で囲まれていた。
「三毛猫さんっ…」
三毛猫に助けを求めると、その三毛猫は私を観察するような目で見ていた。
どうやら、助けるつもりはないようだ。
「いたたっ……」
「に~」
「なぁに?」
「にぃー」
「ごめんね、私わかんないよ…」
これに関しては苦笑いしかできない。



