* º ~ º *
「…ね……かざ…かざね、風音」
「えっ…だれ?」
天使でも舞い降りてきそうな光が射し込む水の中。
「き、れい……」
私は“それ”を見て、自分の目を疑った。
良い意味でこの世とは思えないくらい中性的で綺麗な顔をした人。
絹糸のように艶のある銀色の髪が神秘的な雰囲気を漂わせる。
「風音」
まるで愛しいものでも見るような顔で呼びかけてくる。
「…あっ、は、はい…!」
ハッと我に返る。
いけない。ぼーっと見惚れていた。
「私がここに呼んだのは一つ言うことがあるからだ」
「??」
何だろう…。私にとって良くない知らせかな…。
「ここに来てしまった理由はノアに聞くと良い」
つまり、ノアは私に話すべきことがたくさんあるってこと…。
「だが、風音はここに来なければいけなかったのだ」
重みのある言葉がずっしりと肩にのしかかった。
これが、私がここに来た理由。
“来ないといけなかった”。
「どういう、ことですか?」
「ノアが知っている。私からはこれだけ言っておく。これから風音にはたくさんの荒波が襲いかかるだろう」
またノアをこき使ってる…。
やばい。私、やばいぞ…。
「私はいつも風音を見ている。風音が危険にさらされないよう、できる限り護る」
何を言っているのか、さっぱりだ。
だけど、これは警告だ…。
「だが、その身は自分で守る、それだけは怠らないようにしてほしい」
自分の身は自分で守る。
「…わかりました」
真剣な表情で見据える私に、小さな笑みを浮かべた。
「ここに長くいると危ないだろう。そろそろノアのところへ帰りなさい」
それからその人から遠のいて、声も小さくなっていく。
それに気付いた私は慌てて言葉にした。
「あ、あなたは、誰っ…」
周りを取り巻く鋭い風を腕でガードする。
その人は私を愛しむような笑みで口を動かした。
「私は、………」
チリンと鈴の音がした。
「ぅ、そだ…」
信じられないほどの衝撃を受けた。
瞼が重い。また、気を失うのか…。
嫌だ…。
目もくらみそうな眩い光に包まれ、意識が途切れた。
私はまた、負けてしまった。



