「さあ、着いたよ」
重松茂に連れてこられたのは、大きな桜の木が一本立っている丘だった。
桜と言っても、もう半分以上も散っている。それでも私は、
「すごい。綺麗だね」
と思ったことを口にした。重松茂も、
「ここ、お気に入りの場所でね。満開の頃にはお花見客に邪魔されて、近くで見えないんだけど、この時期はほとんど人がいないんだ」
「どうして、そんなこと知ってるの? まさか、前からちょくちょく来てた?」
「まあね。別れてから時々来てるんだ。もし、あの雨の日に、この桜の下にたどり着いていたら……なんて考えながらね」



