あれはまだ、私たちが付き合い始めの頃、私は重松茂に「海が見たい」と言った。
学校が休みの日に行くことになったのだけど、電車に乗ってすぐに雨が降り出した。
それでも私は、どうしても海が見たかった。でも、重松茂は「雨の日の海は危ないから」と言って、珍しく頑なに拒否した。
「普段、優柔不断のくせに、どうして今日に限って、頑固なの?」
「いや、だって、それは、えっと……」
と、普段の優柔不断さを出してきたものだから、私は頭に来て、電車を降りたのだ。
それがこの駅だった。ロープウェイのあるこの駅。
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