店を出て、電車に乗ると、座席にひざをついて、景色を眺めていた子供たちに、敬礼のポーズをされた。
さすがに恥ずかしくて、違う車両に行きたかったけど、そういうわけにもいかない。腹をくくって、今日一日、日本兵と行動を共にする。
にしても、珍しいなと思う。重松茂という男の私服は、付き合っていた頃はこんな感じじゃなかった。
どんな服を着ていたか思い出せないほど、地味で無難なものだったと思う。それが今では、迷彩柄。
いや、目立たないという意味では、地味さに拍車は、かかったのかもしれない。
それでも、迷彩柄にミリタリーパンツなんて組み合わせ、あの重松茂からは、想像がつかなかった。
本当に私の隣で、子供たちにチョコレートを配っている、この男は、重松茂なのだろうか。
ひょっとして、生き別れの弟さんとかじゃないだろうか。
なんて、今日はやけに、ばかばかしいことを考える。それぐらい意外なのか、月日が経ったということなのか。



