そう言って、工場長が浮かべた寂しそうな表情に、私は見覚えがあった。
面接の時と同じ表情だ。
「病気だったんだ。手術もできない状態でね。僕にはどうすることも、できなかった」
私は、いたたまれなくなって、また苦いコーヒーを飲んだ。
「小さい頃から病気がちで、ほとんど学校には通えなかった。瀬花高校にも、一応入学はできたんだけど、結局1日も通えなくてね」
工場長の娘さんの話を聞いていると、何だか自分が一日一日を、無駄に過ごしているような、申し訳ない気持ちになった。
世の中には、私たちと同じ年齢で、そういう人もいる。そういう人に比べると、私の悩みや苦悩なんて、ちっぽけで、なんて恵まれているんだろう。



