一目惚れ 〜結斗side〜


何も感じない。
そんな毎日だった。
あの日、君に出会うまでは…。


「うわっ!?信号変わる!」
「行こうぜっ!!」
そう言って2人が慌てて走って行く。
俺もその後に続いて走る。
その時だった。
ポケットの中から"大切な物"を落としてしまった。
「やばっ!」
俺は慌てて拾おうとした。
だけど…それはできなかった。
「何やってんだよ、早く行くぞ!」
前の方を走っていた深雪が俺の腕を掴み走る。
まだ拾っていないのに!
だがその手を振り払うことはできなかった。
俺は何度も後ろを振り返る。
どんどん…遠ざかって行く。
諦めるしか…ない…のか?
そう思った時だった。
女の子が息を切らしながら俺の袖を掴んでいた。
「はっ…、はぁ…っ」
その女の子は何度も呼吸を繰り返している。
なんなんだ?
もしかして告白か?
小さい頃から俺はよく女子に告白されていた。
女を取っかえ引っ変えしても何も感じなかった。
今でもそうだった。