〜プロローグ〜

物語のヒロインはいつも幸せそうだった。

例え困難があってもひょいっと乗り越えてしまう。

シンデレラだって、魔法使いの一夜限りの魔法のおかげで自分の抱えていた困難を乗り越え幸せを掴むことが出来た。

物語のヒロインみたいに、友達や家族が恵まなくても救世主が必ずと言っていいほどやってくるのだ。そして、みんな幸せになりましたとさ。めでたしめでたし。

いわゆるハッピーエンド。

けれど、悪役は違う。

どんな物語にも登場する言わゆる嫌われ者だ。

悪役は、ハッピーにもなれずみんなに嫌われて倒されていくか友達もできず孤独になる。

バットエンドなわけだ。

私自身もヒロインになりたかった。

というより"なりきれなかった"という方が正しいだろうか。

そう。これはヒロインになりきれなかった悪役のお話。